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2011年1月20日木曜日

手記40:孤独と家族への思い

拘置所の奥の独房にいると耐え難い孤独を感じます。まるで世界から切り離されたようでした。夜は所内のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきたものです。
なぜわたしはここにいるのでしょう。なぜアメリカの(頭文字Fな)兵隊らは容赦ない仕打ちをするのでしょう。
わたしは肉体的にはひとりぼっちでしたが胸の中は家族への思いがあふれつづけていました。三ヶ月前に生まれたばかりの赤ん坊はどうしているか、誰か殺されていなか、誰が生き残ったろうか。家族と過ごした時の鮮やかな思い出のフィルムが頭の中で回りいつまでも止まりませんでした。
わたしと同じように妻や子どもたちはどれほど心配しているでしょう。逮捕された夜わたしは家族に何も告げずに家を出て来ました。わたしが妹の電話を受けたとき家族はすでに寝入っていたからです。
妻と子どもが銃声で目を覚ましたときわたしは家におらず、「お父さんは殺されてしまった!」とみなが信じ込んだそうです。
夜が明けると妻と年長の子どもたちは農場を歩き回りわたしの死体を探し、血痕を探しました。米軍が来てそこに血溜まりが残されればそれは誰か殺されたのだと子どもでも知っています。そして家族らはわたしが拉致されたと判断したのです。
家族と面会が許されこの話を聞けるようになるにはこのあとまだ半年かかるのでした。

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