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2010年9月10日金曜日

手記16:夜のミリシア

葬儀を済ませたその夜、わたしたちは農村で過ごしました。農村は父の生まれ故郷で一族の農場がありました。安全な暮らしのためバグダッドから生活を移す予定でした。
しかしその農村さえも夜になると銃声が聞こえてきました。農村から隣町まで夜はミリシアが支配していたのです。
農場の向こうに黒ずくめに武器を携行した7、8人の男たちの姿が見えました。わたしたちはこの村では新参者です。彼らがなにものかはわかりません。
わたしは兄ヤヒヤを呼びました。連中を農場へ入れてはならない。家族への危害を防がねばなりませんでした。
こんな状況の出会い頭で撃ち合いになり死人が出るのです。
私は大声で彼らに呼びかけました。
彼らは無言です。
威嚇のために銃を撃ちました。
撃つな!お前たちの仲間だ。彼らが叫びました。
しかし距離を保ったままです。
彼らの狙いは何でしょう。わたしは少し近づきました。
そこにいろ!彼らが警戒の声を発しました。
その時爆発音が聞こえました。ロケット弾の着弾でした。闇の先のミリシア側からの攻撃でした。
男たちは私に背を向け応戦し始めました。
どちらの宗派にもミリシアはいました。いまでも彼らがこちら側の自警団だったのかわかりません。

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