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2010年9月10日金曜日

手記19:突然の父の死

2007年1月14日、イラクにいったん戻ることにしました。長期の留守に備えるためにやることはたくさんありました。その年の冬はとくに寒く暖房用の灯油の買いだめが必要でした。世界有数の産油国なのに品不足で手にはいらずあちこちを探し回りました。もし十分に買えなかった場合は木を切り倒し燃料の薪にするつもりでした。どうしても男手が必要な仕事でした。
厳格で気丈だった父が弟の死に嘆き毎日ただ涙を流すだけでした。そしてわたしには国を出て生き延びるように強く促すのでした。
村に戻って12日目、父が死にました。
突然すぎる死でした。強い男で病気の気配はどこにもなかったのです。

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