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2011年1月20日木曜日

手記39:健康診断

困惑の最たるものは健康診断でした。検査には着衣を脱ぐことになります。これがアラブ人にはたいへん落ち着かない不愉快な気分になるのです。米軍は手を抜いてアラビア語通訳を用意しません。価値観(羞恥心の感覚)、コミュニケーションの欠如がときに悲劇を引き起こします。
若いアメリカ兵のスラング混じりのアクセントはわたしにも聞き取れないことがありました。何を要求しているのか一般的なイラク人には全く通じなかったでしょう。
中年の男性がいました。服を脱ぐように言われましたが彼には意味がわかりません。それどころか数人がかりでレイプされると思ってしまったのでした。アブグレイブ刑務所での虐待事件はイラク人の記憶に焼きついています。おじさんはパニックになり「犯られてたまるか!」と叫びながら激しく抵抗しますが兵士らは何を言っているのかわからず二人が力ずくで裸にしてしまいました。そこに現れたドクターはおじさんの抵抗を痔の疾患と解釈し彼をひざまずかせました。
おじさんは守りたかったところを無駄にグリグリされやはり尊厳を失いました。

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