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2011年1月20日木曜日

手記41:尋問

拘置所に入れられると自由だけでなく名前も失います。番号を言い渡されこれからは自分の名前を忘れてしまうよう告げられるのです。
アンラーワン基地での3日目の夜、突然番号が呼ばれました。数字がわたしの新しい名前です。尋問は唐突にしかも夜に始まるのです。その日も寒い夜でした。名前を呼んだのは女性の兵士で冷たく光るステンレスの手錠と足かせを持っていました。女性兵に手かせ足かせをされチェーンに繋がれ取調室に引っ張られました。チェーンのたてる大きな音がして耳障りでした。通路を歩くとあちこちの蜂の巣部屋の収容者から声がかかりました。「しっかりしろ!」「あきらめるな!」「神がそばについてるぞ」そして大合唱となりわたしを励ましました。
「アッラーアクバル!アッラーアクバル!アッラーアクバル!アッラーアクバル!」
勇気を得て怖そうな女性兵士に頼みました。
トイレに行かせてくれ。
腹具合が悪く歩くのも大変でした。しかし答えはNOでした。
取調室に入るとイスが三つありまもなく通訳を連れた取調官が入ってきました。その二人もまた女性でした。わたしは苦痛のあまりしゃべることもできません。なんとかトイレに行けるように頼み今度は許可されました。せきほどの女性兵は不機嫌な顔つきです。トイレには見張についてきます。股間のイチモツは暗くて見られなかったはずでそれがせめてもの慰めでした。
わたしはようやく人心地ついて頭が働くようになりました。取り調べは再開されましたが質問はいつものどうしようもないものでした。

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